読書記録
第二言語習得理論は、外国語科に限らず、どんな教科の教員も応用しやすいのではないかと思う。心理学がベースになっているせいかもしれない。
今回、第二言語習得理論にまつわる書籍を読んで、自分の授業に生かそうと思った知識の一つに、“教室内の権力・アイデンティティは、言語学習に複雑に影響する。”というものがある。
例えば、
- 学習に対する動機づけがいくら強くても、教室内で力に不均衡があると、しゃべるのに気が進まなくなる。(P94)
- 成功/不成功、おしゃべり/おとなしい、などのアイデンティティが、教室ではすぐに割り振られる→学びに影響する(P94)
- 話し合いなどを通して学習者としてのアイデンティティが確立できていないと、高校生は学習に投資する気が起きない(P95)
ということがあるそうだ。教室環境の整備については、教員が重い責任を担っているという自覚を持つ。
また、“教授がどのように行われるべきか、という学習者のビリーフは、教師の観点とズレることがある。(P96)”という研究結果も、授業するときには忘れてはならない観点だと感じた。
「最終的に言語をマスターするためには、正式な言語学習が必須だ。」という意見について、学習者側は大部分が是とするのに対し教師側では半分強だったそうで(P96)、どんなときも学習者と指導者でビリーフが異なる、というわけではないはずだが、「ビリーフが異なることもある」ということを覚えておく。
最初から完璧なものを教師がどれだけ求めているか、どれだけ求めていないか、のような点では、ビリーフにズレがありそうだから、そこは丁寧に生徒に説明しようと思う。
言語はどのように学ばれるか――外国語学習・教育に生かす第二言語習得論
- 作者: パッツィ・M.ライトバウン,ニーナ・スパダ,白井恭弘,岡田雅子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2014/09/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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